「スハネ30形」は、もともとは戦前に製造された国鉄初の三等寝台客車である「スハネ30000形」でしたが、「スハネ30形」に形式変更された後、戦時中に寝台車は不要とされたために、座席車である「オハ34形」に改造されました。

 戦後、鉄道輸送による旅客需要が高まり、三等寝台車が多数必要となりましたが、当時最新型であった「10系客車」の製造が追いつかなくなったことから、リリーフのために「オハ34形」は座席車から寝台車に再度改造され、形式名も「スハネ30形」に戻されたという、なかなかに複雑な経緯を持つ客車です。 

 この「スハネ30形」は、Nゲージ完成品では、KATOとマイクロエースが模型化しています。
 ウチでは、KATOの「音戸セット」と「つるぎセット」から、バラ売りされていた中古品を4両入線させています。



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 丸屋根に小さな窓。
 リベットのモールドがクラシックな印象です。



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 サイドビュー。
 窓は小さいですが、車内に寝台が設置されているのが分かります。

 見た目は旧型客車然としていますが、寝台車に再改造された際、中身は当時の最新型であった「10系客車」に準じたものにアップデートされたのだとか。



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 台車はTR23形。
 ブルーのボディにリベットというのが、なんとも・・・。



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 「KATOカプラーJP」での連結面。
 連結間隔は良い感じです。



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 寝台車に再改造された際に、デッキをつぶして洗面所が設けられたそうです。
 車端部のすりガラス表現が洗面所なのでしょう。

 どんな配置になっていたのでしょうか。
 利用してみたかった・・・。



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 屋根上は、扇風機設置のためにモーターが並べられたようで、長いカバーが設置されています。
 そのため、ベンチレーターが片側に寄せてあり、独特の外観となっています。

 「スハネ30形」は、もとが戦前製造の古い車体だったため、冷房設置の改造ができず、1974(昭和49)年に退役してしまいました。

 冷房なしの夏の寝台車は、どんな雰囲気だったのでしょうか。
 当時の車内は禁煙ではなかったでしょうから、あちこちで煙草の煙、開いた窓からは外の風。
 そんな感じだったのかな。

 実際の編成を再現するのも本道でしょうし、特徴があるスタイルを活かして、他形式の旧型客車と混ぜて「My 列車」を編成するのも楽しいでしょう。