「キハ91系」は、1966(昭和41)年に登場した急行形ディーゼルカーです。

 型式番号が「9」であることが示すとおり、大出力エンジンを搭載した試作車として設計された形式で、所要の試験を終えた後は急行「しなの」や「きそ」などで営業運転に用いられました。

 エンジンの放熱のため、屋根上に通風式の大型ラジエーターを装備しているのが外見上の特徴で、これは「キハ181形」に受け継がれています。

 Nゲージ鉄道模型では、ニッチなモデルを得意とするマイクロエースが製品化していましたが、KATOからまさかの(?)模型化。

 国鉄形のディーゼルカーが大好きな私は、マイクロエースのモデルのお買い得中古を探していたところでしたので、即決で予約購入です。 

 

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 今回発売されたKATOのモデルは「品番 10-1386」の8両セットで、量産試作車の「キハ91形(車番2~7)」が6両、先行試作車の「キハ90形」を改造した「キハ91-9」、グリーン車の「キサロ90形」がそれぞれ1両入っています。

 雨樋が赤色で、前面の読替装置が小型の頃がプロトタイプなのだとか。
 マイクロエースのモデルは、その辺りの違いがバリエーション展開されていますね。

 キリッとしたディティールが、とてもいい感じです。
 (^_^)



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 このセットには後付けパーツがふたつあります。

 ひとつは先頭車用の電気連結器で、同社の「キハ181形」と共用のパーツ。



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 もうひとつはジャンパ栓。
 このパーツがあるとフロントがグッと決まるのですが・・・。

 何故に成型色を赤にしたのでしょうか?
 このままだと、何だかこぶが垂れ下がっているみたいです。
 (>_<)



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 なので、ホース部分をマジックで黒く塗りましたが・・・もう少し上まで塗った方がいいですね。

 ・・・成型色が赤い理由は、「栓の部分が赤い」からだということは分かっているんです。

 でも、「塗装せずそのまま取り付けて楽しむ」ようなライトユーザーにとっては、このパーツは赤よりも黒い成型色の方がいいんじゃないかな・・・とも思います。

 この「キハ91形」に限らず、KATOのモデルに付属の「ジャンパ栓パーツ」は、ホースの黒ではなくボディのカラーで成型されているんですよね。

 パーツを付属させてくれるのはとても有り難いのですが、それなりに模型を扱うユーザーは成型色に関係なくどうせ塗るのですから、ここはライトユーザーに寄り添う方が、メーカーとしては優しい気がするんですけどね。



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 ヘッドライト点灯。
 おでこの「急行」も点灯します。

 マイクロエースのモデルは、先頭車は全車ライト点灯でしたが、KATOのセットでは先頭車でライトが点灯するのは両端の2両のみ。

 編成中の車両は先頭車とはいえライトは点灯させないので、ライトユニット分の価格を抑えてあるのならば、こちらの方が合理的かな。



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 テールライト点灯。
 タイフォンカバーは、(とてもそうは見えませんが)別パーツになっています。



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 同じKATOの「キハ65形(左)」と。
 「キハ91系」の運用実績を元に開発され、大馬力エンジンを継承した「キハ65形」は直系の子孫のようなもの。

 ちなみに、模型の発売時期としては25年の差があります。

 

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 「キハ65形(左)」は、トミックスの気動車用TNカプラーを取り付けています。
 並べてみると、似ているようで全然違いますね。

 「キハ65形(キハ58系)」のフロントがフラットなのに対し、「キハ91形」のフロントは折妻になっています。



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 俯瞰してみると、フロントのラインの違いがよく分かります。



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 今度は、マイクロエースの「キハ66形(左)」と並べてみました。
 こちらもTNカプラーを取り付けています。



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 やはり、似ているようで似ていません。
 (^_^)



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 俯瞰してみました。
 おでこのラインが全然違っています。



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 「キハ91形」のサイドビュー。
 


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 運転席付近。
 ドア下のステップも再現されています。

 独特の3枚折り戸が採用されたのは、空気バネ台車とドアの干渉を避けるため。



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 床下には、出力500馬力を誇った「DML30HSA形 水平対向12気筒エンジン」が。



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 このエンジンパーツは・・・。



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 なぜか取り外せます。
 エンジン換装のためでしょうか?



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 車端部の様子。
 模型の「キハ91形」の台車は、同社の「キハ181形」と共通の「DT36形」です。



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 反対側にはトイレが。
 流し管も再現されています。



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 カプラーは台車マウントではなく、ボディマウント。
 このため、車端部床下のディティール再現が可能になりました。



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 連結間隔はこんな感じ。

 ・・・同じようにボディマウントのカプラーを採用するのなら、電車用の密連形はともかく、自連形だけでもトミックスとカプラーを統一してもらえないかな、と思います。

 

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 屋根上の通風式大型ラジエーター。
 


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 同様に通風式大型ラジエーターを備える、トミックスの「キハ180形(上)」と。

 KATOの「キハ91形」は最新モデルだけあってモールドが細かいですが、トミックスの「キハ180形」も発売時期を考えると頑張っています。



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 セットには、「キハ91形」が6両も入っていますが、M車は「キハ91-3」です。



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 モーターが収まっているので、床下のディティールはT車には及びませんが、それを逆手にとって、「冷房改造車」にすることにします。

 実車の「冷房改造車」は「キハ91-8」でしたが、「3」と「8」は見た目が似ていますし(笑)、本来なら床下に冷房用発電機が追加されるところでしょうけれど、M車ならその辺が気になりませんからね。
 (^_^)



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 グリーン車「キサロ90形」。
 付随車なので本来の台車は「TR205A形」だそうですが、模型では他と同じ「DT36形」です。



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 KATOの「キロ28形(上)」と。
 基本的な構造は同じだそうですが、張り上げ屋根の「キロ28形」とはかなり印象が異なります。



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 床下の様子。
 「キロ28形」はエンジンを搭載していますが・・・。



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 「キサロ90形」はエンジンを搭載していないので、床下がすっきりしています。
 乗っていて静かだったのは、こちらでしょうね。



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 1両だけセットされている「キハ91-9」は、他の「キハ91形」とは全く異なる車輌です。



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 「キハ91-6(左)」と、「キハ91-9(右)」。

 「キハ91-9」は、元は300馬力の「DMF15HZA形」 エンジンを搭載して1両だけ製造された「キハ90形(90-1)」であり、500馬力の「キハ91形」との比較試験に用いられました。

 その後、「キハ91形」と同じ500馬力エンジンに換装され、形式も「キハ90-1」から「キハ91-9」に変更されて、「キハ91系」として運用されていたのです。



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 エンジンは同じになりましたが、ボディは「キハ90形」のままだったので、ヘッドライトやフロントウインドウ、ドア部の塗装などがオリジナルの「キハ91形(左)」と異なっており、編成中の異端児的存在でした。

 屋根上のラジエーター端も角張っており、形状が違っています。



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 「キハ91-9」のサイドビュー。



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 車端部。
 クリーム一色のドアが目を引きます。



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 編成中の様子。
 垂れ目のようなフロントウインドウが、いい味を出しています。



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 フロントウインドウには、なんと日よけの青色が入れてあります!
 w(°o°)w

 この「キハ91-9」は、以前のマイクロエース製品ではラインナップされていませんでしたが、今年の6~7月頃に「マイクロエース20周年記念モデル」として、「キハ91-1」形と2両セット(品番 A0594)で発売されるようです。

 しかし、2両で予価13,900円ですか・・・。
 KATOのモデルが出た後ですし、何ともタイミングが悪いような気もしますが・・・。
 


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 KATOの「キハ91系」は、最新モデルだけあって素晴らしいデキです。

 実車の「キハ91系」は、試験車故の複雑な構造や冷却系のトラブル頻発が災いし、1976(昭和51)年には運用を停止してしまいます。
 登場からわずか10年ほどのことでした。

 とはいえ、新型の大馬力エンジン搭載試験車として運用された実績は、その後特急形の「キハ181形」、急行形の「キハ65形」から一般形の「キハ66・67形」にまで継承されていき、国鉄の新系列気動車の礎となっていきました。

 「キハ91-3(M車)冷房改造編」は次回に。
 (^_^;ゞ